みんなで毎日1ハック【解決編】シゴトハック研究所

ライフハックの基本である“習慣化”。今回は毎日新しいハックを考えて自分の習慣にしていくための方法を考えます。

» 2007年02月02日 14時04分 公開
[大橋悦夫,ITmedia]

今回の課題

 今回の課題:みんなで毎日1つシゴトハックを考える習慣を定着させるには?

 コツ:「1日1つ」を厳守する


 良いと思って始めた取り組みでも、それがすぐに効果を現すものでなければ、忙しい毎日の中に埋もれていってしまうものです。

 そこで、「一人でできないことは同志を募って始めてみる」でもご紹介したように、同じような思いを持っている人同士で一緒に始めるのが継続させるうえでは有効な方法だといえます。

 今回は、この方法の実践例の1つとして、メーリングリストを活用して「シゴトハック」をシェアするアイデアをご紹介します。

「自分にとっては当たり前」でも投稿する

 業務において、同じチーム内で情報交換や共有のためにメーリングリストを開設しているという方は少なくないでしょう。もはや当たり前のことですが、全員に漏れなく情報を送り届けることができるため、便利である反面、長く使っていると、どうしても投稿が特定の人に偏ったり、完全に“読者”となり読むだけで済ませてしまうメンバーも出てきます。

 もちろん、必要もないのにやたらと投稿するのは、いたずらにメールを増やして業務に支障を来すことにもつながりますから、何かしらルールやガイドラインが必要です。

 とはいえ、メンバーにとって何かしら役に立ちそうな情報であれば、歓迎されるはずです。つまり、ここでの問題は、

  1. 投稿する人と投稿しない人に分かれてしまう
  2. 何を投稿すればよいかがよく分からない
  3. どれぐらいの頻度で投稿すればよいのか分からない

 という3点だと考えられます。

 そこで、メンバーが興味を持ちそうな情報を見つけたり、あるいはふと思いついたりしたことを、不定期に投稿するという方法でもよいのですが、さらに一歩進んで、毎日何かしら「ネタ」を投稿するという“ゆるいルール”を作るようにします。

 筆者自身も、オフィスで一緒に仕事をしているメンバー同士で、この取り組みを実践しています。

 具体的には、

  • メンバーがめいめい毎日1つずつ、その日の仕事を振り返って、
  • 仕事をする上で工夫してやってみた、ちょっとしたコツ
  • 仕事をする過程で見つけた、便利なWebサイト

 などを投稿する、というものです。

 以前から同じようなことを自分1人でやっていたのですが(思いついた「ハック」を自分宛てにメールする)、チームで行うことによって、フィードバックがもらえることがあるため、チーム全体にとって継続のモチベーションになっているようです。また、「自分にとっては当たり前」なことでも、投稿することによって、

  • 感謝される
  • 関連したアイデアを引き出すことができる
  • それがきっかけとなって新たな発想が生まれる

 といった、フィードバックがもたらす副次的な効果も実感しています。

「1日1つ」を厳守する

 冒頭にも書いた通り、忙しい毎日の中での取り組みですから、あまり時間や手間をかけられるものではありません。そして、「みんなにぜひ知らせたい情報がたくさんある!」という日もあれば、忙しくてそれどころではなかったり、うまい「ネタ」が思い浮かばなかったりするなどの“山谷”もありますから、ますます継続は難しくなります。

 この対策として徹底させているルールは、「1人1日1つ投稿」を厳守することです。「ネタ」がたくさんあるからといって1日に大量に投稿すると、読む側は量に圧倒されてきちんと読めなくなり、当然フィードバックも返せなくなりますし、書く側としてもそれだけ時間を取られることになってしまいます。

 こういったことが続くと、この取り組みは「燃え尽き」を迎えることになります。

 つまり、一過性の「ブーム」にするのではなく継続性のある「習慣」として位置づけるのです。

 「ブーム」は一気に加熱するために、熱いうちはよいのですが冷めるのも早い、という特徴があります。一日に大量の投稿をして、同じように大量の返信がある、という「お祭り状態」は長くは続かないわけです。それゆえ、「ブーム」にならないように「1日1つ」というルールを厳守するわけです。こうすることで、熱しすぎず冷めすぎず、「生温かく」続けることができます。

 また、「今日は2つ投稿したので明日は投稿しなくてもよい」という“先取り”や「昨日投稿できなかったので今日は2つ投稿する」という“取り戻し”を許さないようにします。これは、習慣化の妨げになるからです。

 例えば、歯磨きは毎日行うからこそ習慣になるのであって、「今日は2回磨いたから明日は磨かなくてもOK」ということにはならないでしょう。「自分にとっては当たり前」なことでも、とにかく毎日1つ投稿することを欠かさないようにすることで、「歯を磨かないと気持ち悪い」と感じるのと同じように、「投稿しないと気持ち悪い」という状況を作り出すことができます。

 なお、「1日1つ」というのは、1人のメンバーが新規にその日の「シゴトハックなアイデア」を投稿する数のことで、フィードバックについてはこの限りではありません。逆に言えば、誰かの投稿に対してコメントを返したとしても、それは「1つ」にはカウントされないわけです。

 こうして、「1日1つ、自分の仕事の中からシゴトハックを見つけ出す」という課題を持つことで、日々の仕事の取り組み方や意識に変化が現れるようになります。

 例えば、

  • 自分では当たり前のようにやっていることに改めて気づいたとき
  • 良い方法がないかを考えているとき
  • うまい解決方法を思いついたとき
  • 分かりやすい解説ページを見つけたとき

 など、仕事をしている中で、「パッと周りが明るくなる瞬間」というものに敏感になります。すなわち「これは今日のネタに使えそう!」という発見です。こういった一見偶然とも思える瞬間を意図的にたぐり寄せるうえでも、「1人1日1つ投稿する」というルールが後押しになるはずです。

筆者:大橋悦夫

仕事を楽しくする研究日誌「シゴタノ!」管理人。日々の仕事を楽しくするためのヒントやアイデアを毎日紹介するほか「言葉にこだわるエンジニア」をモットーに、Webサイト構築・運営、システム企画・開発、各種執筆・セミナーなど幅広く活動中。近著に『スピードハックス 仕事のスピードをいきなり3倍にする技術』『「手帳ブログ」のススメ』がある。


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