情報漏えいの半分は紙から――セキュリティ機能を強化したプリンタ「C8800dn」

沖データはセキュリティ機能を強化したA3カラーLEDプリンタ「C8800dn」を発売する。情報漏えい対策として、セキュリティ機能を強化した。

» 2007年01月24日 22時12分 公開
[吉田有子,ITmedia]

 日本ネットワークセキュリティ協会の調査によると、情報漏えいの約半分が紙媒体によるものだ。一方で、沖データによる調査では、プリンタにセキュリティ対策をしているのは全体の12.9%にとどまる。紙媒体に対する現場でのセキュリティ対策はまだ進んでいないのだ。

個人情報はどこから漏れているのか?
現在実施しているセキュリティ対策の内容は?

 そこで、沖データが2月上旬に発売するのが、オフィスでのプリントデータやプリントアウトした紙文書からの情報漏えい対策を強化したA3カラーLEDプリンタ「C8800dn」だ。

 LEDプリンタとは、レーザープリンタの露光部にLED(発光ダイオード)を利用したもの。レーザープリンタと比較して細かい字がきれいに印刷できる。価格は28万1400円。大きさは648×485×341ミリメートル(奥行き×幅×高さ)、重さは40キログラム。

LEDプリンタとレーザープリンタの比較

 沖データの調査では、プリント時のセキュリティ対策をしている場合、その内容は個人の自覚に頼った「印刷時の置き忘れに注意・定期的に処理」が最も多い。対策をしていない理由は「コスト」「手間」「何をしていいのかわからない」が3大要因だった。

 沖データの鎗田優子氏(マーケティング担当)は「セキュリティ対策導入にかかる手間やコストより、情報漏えいがあったときの社会的信頼の失墜やそのときに必要な処理などのコストの方がずっと大きい」と強調する。コストや手間がかかるからといっておざなりにしていいはずはない。

プリント時のセキュリティ対策の内容は?
対策を行っていない理由はなんですか?

 C8800dnでは、標準でSSL/TSL通信と有線LAN接続によるIEEE 802.Xに対応。さらに専用のオプションとして「セキュリティキット」「ICカード認証印刷機能」を用意した。また「ProtecPaperプリンティングソリューション」の試用版を同梱する。

 このセキュリティキットは、プリンタ内部のHDDに蓄積された印刷データを暗号化する機能。追加には別途10万2900円が必要。これを装着した場合について、セキュリティ評価基準の国際規格「ISO/IEC 15408」(コモンクライテリア)の取得を予定している。

 FeliCa方式の「ICカード認証印刷機能」では、印刷する時にPCに接続したカードリーダーにICカードをかざし、その後同じICカードをプリンタ側のカードリーダーに再びかざすことによって印刷を開始する。プリント後の書類の置き忘れや盗み見防止に役立つ。

 価格は1台のプリンタだけに対応する「カード認証キットF1」が6万3000円、ネットワーク経由で複数のプリンタを利用できる「カード認証キットF2」が10万5000円。PCとプリンタの両方に接続して利用するため、最低でも2台以上が必要だ。

ICカードをPCとC8800dnにかざす

 「ProtecPaperプリンティングソリューション」を利用すると、印刷したユーザ名やプリント日時などの情報が記録された独自のドットパターンを生成し、背景地紋としてプリントする。文書が流出した場合は、このドットパターンをスキャナで読み込み、専用ソフトで解析すると印刷したユーザーを特定できる。

 C8800dnに付属する無償の「ProtecCheck Lite」は、記録できる情報に制限があり、印刷してから1週間以内の場合のみ読み出しが可能な機能制限版。有償版は、地紋を印刷する「ProtecPrint Fullライセンス」はプリンタ1台あたり10万2900円で、読み出しソフト「読取りソフトウェアProtecCheck」は26万2500円。

地紋をスキャナで読み込み、解析することで印刷したユーザーを特定

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