決意コーチング2007平本メソッド・ピークパフォーマンス実践シリーズ

去年を振り返り、さらに今年やりたいことをイメージして決意するのが「決意コーチング」。ビジネス・プライベート両面から、2006年を3カ月ごとに振り返り、2007年のビジョンや願望、目標を設定しよう。

» 2007年01月09日 12時17分 公開
[平本相武(構成:房野麻子),ITmedia]

 1年の初めに、神社や仏閣、教会などで、「今年はこれを実現させるぞ!」と決意したにもかかわらず、結局、実現できなかった、場合によっては、何を決意したかを忘れてしまった、ということはありませんか? これから紹介する「決意コーチング」では、実際に2006年を振り返り、その内容を書き出しながら、この2007年をどんな年にしたいかという決意表明をしていきます。そして、ただ決意をするだけではなく、そのための具体的な行動を引き出していきます。その行動をコツコツとこなすことで、2007年の終わりに、「あのとき決意したから実現したんだ」「本当に想像通りの1年だった」となるような、そんな1年にしていきましょう。

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1年を3カ月ごとにビジネス・プライベート両面を振り返る

 まず、去年がどんな1年だったかを振り返ってみます。仕事でどんなことがあったでしょうか。プライベートでどんなことがあったでしょうか。そしてそれは、自分にとってどんな意味があったかを考えてみてください。

 最初のうちは、なかなか思い出せないことがあるかもしれません。手帳を見てもいいのですが、できれば使わずに思い出してみてください。正確である必要はありません。きっちり思い出さなくても大丈夫です。「この頃、こんなことがあったな」くらいでかまいません。これは、1年を丁寧に満遍なく振り返り、漏れがないことが目的です。

 そして、できれば具体的なエピソードを思い出してほしいのです。「仕事でこんないいことがあった」「新しいプロジェクトがスタートした」「あまり良い仕事がこなかった」「○○の改正で取材が忙しかった」「スキーに行った」「温泉旅行に行った」「アウディを買った」といった感じです。そして、そのことが自分にとって、どんな意味があったかを考えて、記入してください。

平本 1〜3月、仕事はどうでしたか?

斎藤 初めてのことをいろいろ体験した3カ月でした。

平本 プライベートでは、1〜3月はどうでしたか?

斎藤 あまり覚えてなくて……そうだそうだ、スキーに行きました。いっぱい行きましたよ、毎週でしたから。

平本 それは、自分にとってどんな意味がありましたか?

斎藤 オンとオフがちゃんと切り替えられた、いい3カ月間でした。


 4〜6月、7〜9月、10〜12月も同様に、ビジネスとプライベートのエピソードを2つ3つずつ書き出し、それが自分にとってどんな意味があったかを考えて記入します。この1年間の振り返りはなるべく丁寧にやってみてください。時期は多少曖昧でもいいのです。1年間を漏れなく振り返るのが目的です。また、「それが自分にとってどんな意味があったか」というのは、1つのエピソードに1つずつでも、3つのエピソードをまとめて、でもかまいません。

2006年にタイトルを付ける

 2006年全体を一言でいうと、どう表現できるでしょうか。「○○な1年」というように、タイトルを付けてください。一応決まったら、そのタイトルを2〜3回、口で唱えてみて、しっくりこなかったら、微調整してください。

平本 去年を振り返って、「○○な1年」という風にタイトルを付けてください。

房野 新しい仕事をやった1年、始めた1年……え〜と……。

平本 もっとカッコ良くしたいですね。

斎藤 「未知と遭遇した1年」とか。

平本 いいですね、そういうキャッチーな表現にしてみましょう。「新しい仕事に飛び込んだ1年」とか、「なだれ込んだ1年」とか「引っ張り込まれた1年とか」。何が一番ピッタリきますか?

房野 「飛び込んだ」というのはいい感じです。

平本 それでは、2〜3回、口で唱えてみて、しっくりこない場合は微調整してください。

房野 新しい仕事に飛び込んだ1年、新しい仕事に飛び込んだ1年、新しい仕事に飛び込んだ……新しい仕事が「降ってきた」のほうが自然な感じが……。

平本 そちらのほうがいいですか? じゃあ、しっくりくるものに調整してください。斎藤さんは、どうですか?

斎藤 「未知と遭遇した1年」……「“未知との遭遇”な1年」……映画みたいですが。

平本 そういうのでもいいですよ。何度か口にしてみて、ピッタリきますか?

斎藤 未知との遭遇な1年、未知との遭遇な1年……大丈夫です。

平本 こんなふうに、ぴったりするものを見つけます。


2007年をどんな年にしたいか、徒然なるままに書く

 1年の振り返りが終わったら、今度は新年の2007年に移ります。今年はどんな1年になればいいと思っているかを書いてみてください。抽象的な話でかまいません。これは先ほどのような短い言葉である必要はありません。例えば、「2006年は忙しくてカツカツで、○○で××で、☆☆なときも△△だったから、2007年はワンランクアップして、●●なときも□□になれるようになりたい」というような「文章」にしてください。日記のように、徒然っぽいほうがいいです。最初から完璧にしようしないでください。「結局、あなた何を言いたいの?」くらいの内容でもいいです。だいたいの方向が見えてくればいいです。

 後ほど、「○○な1年」という形にするステップがありますので、ここでは徒然なるままに、どんな1年にしたいかをいっぱい書いてください。ブレインストーミングだと思ってやってみましょう。

来年の今日だと想定して2007年を振り返る

 次に、1年後の今日、つまり2008年の今日になったと想像してください。そして2007年を振り返ります。どうなっていたら、去年(2007年)は充実していたと思いますか? 印象的なエピソードとして、どんなことがあれば2007年が充実していたでしょうか?

 これは、先ほど徒然なるままに描いた内容の具体的なエピソードといえるものです。

平本 どんなことがあったら、2007年は充実しますか?

斎藤 毎日早く帰って、12時前に寝ることができる1年になっているといいなあ、と。

平本 (笑)では、早く帰ってどういう風に過ごしますか?

斎藤 ご飯を食べます。

平本 家で?

斎藤 はい、お風呂に入って、ご飯を食べる。

平本 これは実は大切なことですよね。実は生産性につながります。仕事の面で、何かありませんか?

斎藤 ちゃんと毎月予算を達成して、胃が痛くなるような思いを味わわない。すんなり進んだなあ、というような、そんな1年にしたいですね。

平本 そのために、どんなイベントが起きているといいですか? 例えば、1個大きな案件がポンと取れたとか。

斎藤 こちらからがんばらなくても、案件がどんどんやってくるような、そういう毎日がいいですね。「気が付いたら予算を達成しているぞ」というような。毎日のように受注の電話が入って、「すみません、もういっぱいなんですよ」と答えているようなのがいいです。


 例はできるだけ具体的にしてください。例えば、3年間ずっと温めていた外資企業との合弁のイベントが夏に大成功して、その外資企業のおエライさんが4〜5人来て、ホテルで祝賀パーティをしているような場面。また、自分の予算の赤ラインよりも越える成績を残せて、部内でお祝いしているような場面。

 あるいは、夏休みに休みをとって、子供とキャンプに行った、というようなもの。その2日間は一緒に飯ごうでご飯を炊いたり、煤を付けながらカレーを作ったり、一緒に食べたりしている、など。キャンプでイワナを釣って焼いて、熱くてイワナのいい香りがして、煙が漂っている中で子供と話をしているとか。

 またあるいは、妻と5回目の結婚記念日を祝って、ちょっと長めのお休みを取って海外旅行。モルジブではコテージの床から熱帯魚を見えるようなホテルに泊まって、仕事を忘れて日差しを浴びながらシュノーケリングを楽しんだとか。

 もしくは、中国進出への第一歩を決められて、実際に上海や北京などに視察に行って、現地の人と通訳付きだけどニコニコ笑顔で良い関係を作れた、というような場面。現地の工場長の人と握手しながら、これはうまく行きそうだと手ごたえを感じている場面。その後にレストランに行って、紹興酒を飲みながらおいしい北京ダックを食べてゆったりとくつろいでいる、といった具体的な場面を思い描いてください。

 目の前に北京ダックが見えるとか、赤いタペストリーが見えるなど、具体的なのがいいです。もちろん、自分の希望や夢を語ってかまいません。

充実した2007年にタイトルを付ける

 前段階で、2007年の充実した場面が具体的にイメージされました。ワンランクアップして新しいことをいろいろやったかもしれませんし、子供とイワナを釣ったかもしれません。仕事で5000万円の契約を取れたかもしれないし、毎晩早く帰ってご飯を食べられたかもしれません。

 では、次に、これを全部実現したとしたら、どんな1年になるでしょう。タイトルを付けてみてください。これが2007年のビジョンになります。

房野 思ったことが全部できたとしたら、ものすごい大躍進ですね。

平本 だったら「大躍進の1年」でもいいですよ。ただ、もうちょっと凝ってみたいですね。オリジナリティを出してほしいです。大躍進はよく使われる言葉なので。例えば斎藤さんの言っていた“毎晩早く帰れる1年”だったら、「遊びと仕事のオンオフがはっきりした1年」でもいいし「成長成功が両立した1年」「成功と平安の両立した1年」「最小限の労力で最大限の結果を出した1年」など。もしくは「お客さんが殺到して恵まれた1年」なんかもいいかもしれませんよ。

房野 自分に引き寄せたタイトルですね。

平本 このタイトルを聞くと、「そうそう、この1年はこうだった!」と思えるのがいいです。というのも、このタイトルは1年間持ち続けることになるものだからです。なので、自分にとってしっくりしていないとダメなんです。2週間で「あれ? タイトルなんだったっけ」というのでは困ります。

斎藤 「生活のしっかりした1年」……「しっかりした生活の1年」……

平本 例えば「仕事とプライベートのバランスの1年」とか。

斎藤 そうですね、「オンオフのはっきりした1年」……バランスのとれた、オンオフのはっきりした……。

平本 ピンとくるワードはどれですか? 

斎藤 「しっかりご飯を食べられる1年」。

平本 それ、いいじゃないですか? 「しっかりご飯を食べられる1年」と、2〜3回、口に出して言ってみて、ピンときますか?

斎藤 しっかりご飯を食べられる1年、しっかりご飯を食べられる1年、しっかりご飯を食べられる1年……

平本 どうですか?

斎藤 すごく重要ですね。最優先だなという気がします。

平本 このタイトルを1年間言い続けるわけですが、来年の今頃でもその言葉を言っていて違和感はないですか?

斎藤 「健康な1年」なんかのほうが、いいんでしょうか?

平本 「健康」という抽象語よりは、「しっかりご飯が食べられる」「ファーストフードを食べない」「1日1回ご飯を食べる」といった具体的な言葉のほうがいいと思います。

斎藤 「しっかりご飯を食べる」は、しっくりきます。

平本 じゃあ、それでいいですね。房野さんはどうですか?

房野 「クオリティを伴うライターになる1年」……「一人前のライターになる1年」……誰が頼んでも安心してもらえるライターになりたい、という意味なんですが。

平本 では「誰が頼んでも安心な1年」とか「一人前の1年」とか。

房野 「一人前になった1年」。

平本 「一人前の1年」というよりは、「一人前になった1年」のほうがいいですか?

房野 はい。

平本 どうでしょう。来年の12月くらいに「一人前になった1年」と言っていて、違和感はないですか?

房野 むしろ、言いたいですね。


その1年を実現するための目標を設定する

 「一人前になった1年」や「しっかりご飯を食べられる1年」といった充実した2007年になるために、何を実現させたいかを考えます。どのようにしてこの1年を実現させたいか、目標を設定しましょう。それも、目に見えて測れる特定なものにします。

 「しっかりご飯を食べられる1年」になるためには、体重プラス5キロを実現させるとか、「一人前になった1年」を実現するために、プロジェクトマネージャーになって、数百万円単位の案件を一人で回せるようになるとか、あるいは、企画を任される、プロジェクトを自分の責任でやり遂げる、などです。数字のように目に見える結果がある、進歩が測れる目標にしましょう。

必要なものを確認する

 そして、そのために必要なものは何でしょうか。例えば、プロジェクトを1つ任されるようになるために、必要なものは何でしょうか。

 これには2種類あります。まず、1つ目。もう、すでにあるものは何でしょうか。考えて書き出してみてください。

 例えば、新規事業のプロジェクトを進めるために、例えば「自分の分野についてのスキルや知識」はもう持っているものといえるでしょう。また「既存のお客さんのリスト」や「紹介してもらえそうな人」なども、すでにあるものに当たります。

 2つ目は、これから得られるものです。得たいものは何でしょうか。「新たに勉強したほうがいい○○の知識」とか「Webの知識」、「財務系の知識」などが必要な人がいるかもしれません。または「もっとWebを使った営業をしていくこと」といった行動でもいいのです。これもブレインストーミングのように、出してみてください。

今すぐできる小さな第一歩を見つけて行動する

 最後に、今すぐできる小さな第一歩を決めます。具体的な行動ですね。これは、必ず、24時間以内にできることにしてください。そうしないと、やらなくなります。3日以内だと、この記事を読んだだけで終わってしまいますよ。24時間以内にできることを考えてみてください。

 例えば、「一人前になった1年」に向けて24時間以内にできることだったら、検索エンジンで必要な情報を探すとか、本をアマゾンで頼む、といった程度の簡単なことにしてください。帰りに本屋に寄ってパラっと見てみるとか、○○さんにメールを1本書くとか、しばらく連絡を取っていなかったあのお客さんに電話をして話を聞いてみる、などもいいですね。または、お客さんを紹介してほしいとお願いしていた△△さんに、まだ紹介してもらえそうかどうかを確認する、といったこともいいでしょう。

平本 斎藤さん、24時間以内にできることは何ですか?

斎藤 1時間くらい時間をかけてお昼ご飯を食べる、ですね。

平本 今日、大丈夫ですか?

斎藤 大丈夫です。

平本 今日だけでもいいですから、とりあえずやってくださいね。

斎藤 今日、夕ご飯もちゃんと夕方に食べたいなあ。

平本 欲張らなくてもいいですよ。あまり大きな目標を立ててしまうと、やらなくなりますから、1個だけでいいです。


 私がお薦めする最初の小さな第一歩は、電話をかけることです。ここ2〜3年、連絡を取っていなかったあの人に電話をしてみてはいかがですか? 電話は5分でできますね。ただ、ちょっぴり勇気は必要かもしれませんよ。

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ピークパフォーマンス 代表取締役

平本相武(ひらもと あきお)

 1965年神戸生まれ。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了(専門は臨床心理)。アドラースクール・オブ・プロフェッショナルサイコロジー(シカゴ/米国)カウンセリング心理学修士課程修了。人の中に眠っている潜在能力を短時間で最大限に引き出す独自の方法論を平本メソッドとして体系化。人生を大きく変えるインパクトを持つとして、アスリート、アーチスト、エグゼクティブ、ビジネスパーソン、学生など幅広い層から圧倒的な支持を集めている。最新著書は「成功するのに目標はいらない!」。コミュニケーションやピークパフォーマンスに関するセミナーはこちらから。


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