ルーティンワークを日々効率化する「ToDoリストタイマー術」デジタルワークスタイルの視点

毎回同じような作業になるルーティンワーク。そこに自分の時間がどれだけ取られているのか――。“慣れの罠”を回避する「ToDoリストタイマー術」をご紹介します。

» 2006年12月20日 13時06分 公開
[徳力基彦,ITmedia]

 これまで2回にわたり、ルーティンワークを処理する上で、ToDoリストをリマインダーとして、またはマニュアルとして活用する方法をご紹介しました(関連記事その1その2)。今回は「慣れの罠」についてお話しましょう。

 ルーティンワークを毎回処理し続ける上で陥りがちなのが「慣れの罠」です。もちろん、ルーティンワークを繰り返して回数こなし、慣れることは非常に重要ですが、ある程度慣れてしまうと、ついそれ以上の効率化をすることに怠けがちになります。

 とはいえ、毎回毎回同じことを処理する必要があるのがルーティンワーク。そこに自分の時間がどれだけ取られているか――ということは、もっと意識してもいいのではないかと思います。

 そこで今回は、筆者がルーティンワークを行う上で実践しているタイマー術をご紹介したいと思います。

ルーティンワークを日々効率化するToDoリストタイマー術

  • 1つのルーティンワークにどれだけ時間がかかるか計測しよう
  • 作業時間の増減が激しいルーティンワークは、平均時間を出してみよう
  • どうすれば、作業時間を短くすることができるか定期的に考えよう

1つのルーティンワークにどれだけ時間がかかるか計測しよう

 まず、何はともあれ実行してほしいのは、繰り返しの作業を1回にどれだけ時間がかかっているのか計測するということです。

 もちろん、厳密に1分1秒を図る必要はありません。5分とか10分単位でいいですので、自分がそれぞれのルーティンワークにどれぐらい時間をかけているのか調べてみましょう。ストップウォッチを使おうが、時計の時間を紙にメモしようが方法は何でも結構です。さらに日本では有名ではありませんが、最近、「SlimTimer」や「Zoho Project」など英語のオンラインサービスでは、タイマー機能が実装されているものもあります。

SlimTimer

 また、筆者が使っている「アリエル・マルチスケジューラ」のように、ToDoのステータスを開始や完了にした時間がログとして残るソフトを利用すれば、そのログから作業時間を把握することも可能です。

 というように、やりやすい方法で作業時間を計測してみてください。図ってみると意外なほど時間がかかっている作業、かかっていない作業というのが出てくると思います。

作業時間の増減が激しいルーティンワークは、平均時間を出してみよう

 もちろん、一言でルーティンワークといっても全く同じ作業の繰り返しではなく、日によって処理する件数が変わったり、内容によって作業時間が変わるものも多々あります。

 例えば筆者の場合、定期的なメール処理の作業も毎週件数が変わりますし、ブログや記事の執筆の場合はテーマによってかかる時間は大きく変わります。そういう意味では、1つ1つの時間を見て一喜一憂しても仕方がないのですが、まずはそれらの作業もある程度の回数の時間を計測し、大体の平均時間を出してみましょう。

 もちろんこれも厳密な平均時間を取る必要はなく、大体で結構です。実際に作業時間を確保するという意味では、本当の平均時間というよりは大体の場合はこの時間に収まるという目標時間のほうが現実的かもしれません。

 この手の記録もデジタルのToDoリストを利用すれば簡単です。作業時間をToDoの本文欄をメモするという手もありますし、Zoho Projectやマルチスケジューラのように簡易な工数管理機能を保有しているソフトウェアやサービスであれば、見積と実績の時間を一覧で比較することも可能です。

 もちろんExcelやテキストファイルにメモをする形でも構いません。まずは自分の作業時間を大体把握するということに注力してください。それぞれのルーティンワークがどれぐらい時間がかかるものなのかという感覚を持っているかどうかというのが、自分の毎日・毎週の仕事の質を高める上で実は意外に効いてきます。

どうすれば、作業時間を短くすることができるか定期的に考えよう

 さて、ルーティンワークの現在の作業時間が分かってしまえば、後やることは1つしかありません。

「いかにこの作業時間を短くすることができるのか」

 というのが皆さんに課された宿題です。もちろんトヨタの「カイゼン」よろしく、1分1秒を削るために血がにじむような効率化の努力をするまでの必要はありませんが、ルーティンワークの回数によっては、1つ1つの効率化が「将来の時間」を左右することになります。

 例えば、毎日行っているルーティンワークの時間を10分単位で短くすることができるとしたら――。仮に1年の営業日が200日だとしても「200日×10分=2000分」。つまり、年間30時間以上もの時間が節約できることになります。

 これは極端な例かもしれませんが、意外に日々漫然と繰り返しているルーティンワークは改善の余地があるものです。もっと極端な話をいえば、そのルーティンワーク自体をシステムで自動化することができれば、その作業時間はゼロになります。その作業を、自分がやるよりもっと短い時間でこなすことができる他人に頼むという手もありますし、ひょっとしたらそもそもその作業やることを止めてしまう、というのが最善の選択の場合もあります。

 それぞれのルーティンワークは本当に自分に必要なのか、どうすればルーティンワークにかける作業時間を短くすることができるのか、是非定期的に見直すようにしてください。

 もちろん、ルーティンワークの効率化だけに、日々の全エネルギーを傾けてしまっては本末転倒。限りある自分の時間をクリエイティブで楽しい仕事に振り向けることができるようにするためにも、まずは「日々のルーティンワークからちょっとずつ見直す」――というのがお勧めです。

筆者プロフィール 徳力基彦(とくりき・もとひこ)

NTT、ITコンサルを経て、現在はアリエル・ネットワーク株式会社プロダクト・マネジメント室マネージャ。ビジネスパーソンの生産性向上のためのソフトウェアの企画・開発やコンサルティング業務に従事するほか、グループウェアやブログ、仕事術などに関する執筆・講演活動を行っている。ブログは「ワークスタイル・メモ」と「tokuriki.com


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