デジタルのメリットを最大限活用する「マニュアルとしてのToDoリスト」デジタルワークスタイルの視点

ToDoリストにタスク名だけを箇条書きするのも方法だが、プラスアルファの要素を使えば仕事を効率化できることも。この機会にToDoリストのオプション機能を見直してみよう。

» 2006年12月13日 11時33分 公開
[徳力基彦,ITmedia]

 前回、ルーティンワークの効率化の方法で、ToDoリストに作業マニュアルを入力すると言う方法をご紹介しました(12月6日の記事参照)。ただ、せっかくPCベースのToDoリストを使うのであれば、単純にToDoリストに手順を書いておくだけではなく、作業によっては様々な機能を活用することができます。

 そこで、今回はToDoリストに作業マニュアルを入力する際に、デジタルならではのメリットを活かす使い方を、3つほどご紹介したいと思います。

デジタルならではのメリットを最大限活用する「マニュアルとしてのToDoリスト」

  • ハイパーリンクでマニュアル化、作業を自動化しよう
  • 本文欄に必要な情報をまとめてしまおう
  • 成果物をToDoに添付してしまおう

ハイパーリンクでマニュアル化、作業を自動化しよう

 まず、最初は最も基本的なURLのリンクを活用する方法です。OutlookやRemember The Milkでは、ToDoの本文欄やノート欄にURLを入力すると自動的にクリッカブルな状態にしてくれます。

 こうした機能はPCでは当たり前ですが、紙の手帳では実現できない便利な機能です。使わない手はありません。この機能を活用して、下記のように作業項目ごとに、該当するURLを書き込んでみてください。

 こうすることで、作業を行う順番にリンクをクリックして画面を開くことで、手順を確認しながら半自動的に実際の作業を行うことができるわけです。また、筆者が使っているアリエル・マルチスケジューラなどでは、本文欄にHTMLエディタを利用して文字修飾もできます。こうしたソフトでは、文字に直接リンクを貼ればマニュアルとしても活用できます。

 例えば前回、筆者は下記のようなマニュアルをToDoリストの本文欄に記入しているという話をご紹介しましたが、実際には、広告費はGoogle Adsenseなどの管理画面、Webサイトログデータ確認はWebアクセス解析サービス、登録者数確認は社内システムのURLなどにそれぞれリンクが貼られている状態になっているわけです。

入力例その2

  • データ集計のエクセルを開く
  • 広告費確認(Google AdsenseのURL)
  • Webサイトログデータ確認(Webアクセス解析サービスのURL)
  • 登録者数確認(社内システムのURL)
  • 売上高集計

 もちろん、作業ごとにブラウザのお気に入りなどから対象のサイトを選択してもかまいませんが、お気に入りの整理が苦手な方や、ブックマークで溢れかえっている方は、該当のブックマークを探す際に迷ったりして苦労した経験があると思います。そんな方には意外に使えるテクニックです。特に、オンラインサービスなどを中心に作業を行っている方にはお勧めです。

ToDoの本文欄に必要な情報をまとめてしまおう

 また、定型文書などを処理する際にお勧めしたいのが、ToDoの本文欄にその文書を書いてしまう方法です。

 紙の手帳やノートだと、記入するスペースはある程度限られていますし、リストの見易さを考えると余計な情報は無い方がシンプルですが、デジタルツールであれば本文欄は通常表示されませんから、どれだけ情報を貼り付けてもそれほど問題はありません。

 例えば、月末に決まって送付する定型のメール案内文や、定期的に送付するメールマガジンなど、定型のフォーマットが決まっている文章を使う作業の場合、そのToDoを作成した際に、本文欄にその基本フォーマットも貼り付けてしまいましょう。

 こうすることにより、ToDoリストを見てその作業を開始する際に、1)その本文部分をコピーしてメールを新規作成し、2)本文欄を貼り付けて必要な部分だけを記入する――という流れで、メールの作成を効率化することができます。件名などもコピーしておくと、毎回同じタイトルのメールが簡単に送れて便利です。

 筆者の場合は、記事の執筆やブログの書き込みなどの非定型な文章の繰り返しの作業のにも、本文欄に次回以降の記事のタイトル案や構成要素を思いついたときにメモ書きしておくようにしています。スムーズに執筆するための工夫なのです。

ファイルをToDoに添付してしまおう

 さらに、本文欄には収まらないデータを繰り返し活用する際にお勧めしたいのが、ToDoのファイル添付機能を活用する方法です。例えば、月末に申請する経費清算のファイルや、月間の成果を報告するエクセルシートなど、繰り返し作業で必要となるファイル自体をToDoに添付してしまってください。

 ファイル添付機能はオンラインのToDoリストではあまり実装されているものがありませんが、Outlookやアリエル・マルチスケジューラのようなクライアントソフトでは大抵利用できます。

 ToDoリストに全てのやるべきことを書き出してある状態であれば、全てのトリガーはToDoリストから――ということになるはずです。ToDoリストを見て、そのまま添付ファイルを開き作業すれば、流れもシンプルでファイルを探す手間も省けます。

 当然、ファイルサーバーで同じファイルを複数のメンバーで利用している場合などには、この方法は使えないのが欠点といえば欠点です。しかし、個人で利用しているファイルの場合、ファイルがマイドキュメントにあろうが、デスクトップにあろうが、ToDoに添付されていようが実はあまり関係ありません。繰り返しの作業で作成する元ファイルや、繰り返し編集するファイルなどがある場合は、この方法を試してみたらいいでしょう。


 今回ご紹介したテクニックのほかにもPCであることを利用すれば、紙のToDoリストではない使い方がいろいろありそうです。タスク名だけをシンプルにリスト化する使い方ももちろん1つの方法ですが、業務によっては、プラスアルファの要素を使ってみると仕事が楽になるケースもあるでしょう。この機会にToDoリストのオプション機能を見直して、いろいろ活用してみてください。

筆者プロフィール 徳力基彦(とくりき・もとひこ)

 NTT、ITコンサルを経て、現在はアリエル・ネットワーク株式会社プロダクト・マネジメント室マネージャ。

 ビジネスパーソンの生産性向上のためのソフトウェアの企画・開発やコンサルティング業務に従事するほか、グループウェアやブログ、仕事術などに関する執筆・講演活動を行っている。ブログは「ワークスタイル・メモ」と「tokuriki.com


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