ルーティンワークから効率化するToDoリストテクニックデジタルワークスタイルの視点

ToDo管理で軽視されがちなルーティンワークですが、本当にそれでいいのでしょうか? 仕事全体の効率化のために、まずはルーティンワークの効率化を考えてみます。

» 2006年12月06日 10時28分 公開
[徳力基彦,ITmedia]

 いくつかのToDoリストについてご紹介しましたが(11月29日の記事参照)、今回から具体的にデジタルのToDoリストを使う際のコツをいくつかご紹介していきたいと思います。

 今回取り上げるのは、週や月の決まった日に作業が発生する「ルーティンワーク」の効率化です。

 例えば、月末の経費清算から毎週実施するメールマガジンの作成、はたまた何かの記念日のプレゼント購入まで。私たちの仕事や生活の中には、数多くの繰り返しの作業が発生しています。にもかかわらず、こうした繰り返しの作業(つまりルーティンワーク)は、ToDo管理において軽視されがちのようです。でも、本当にそれでいいのでしょうか?

 そこで、今回はそんな繰り返し作業、ルーティンワークをToDoリストで効率的に管理する方法をご紹介したいと思います。

ルーティンワークをToDoリストで効率化するテクニック

  • ルーティンワークもToDoリストに
  • 完了したら次の締切日を設定
  • 作業マニュアルもToDoリストに

ルーティンワークもToDoリストに

 多くの人は、ToDoリストを「特殊な作業のリスト」と捉えているかもしれません。そのせいか、これらの繰り返しの作業は「当たり前の作業」だからとToDoリストに入れないケースが多いようです。

 紙の手帳では、ルーティンワークを日々の予定欄に書き込むと、書き込むスペースがいくらあっても足りなくなってしまいますし、何度も同じことを書き込むのは確かに無駄だったかもしれません。ただ、デジタルなToDoリストでは、紙面の制約はありません。紙の手帳の感覚で、リストに書き込む項目を最初から制限するのも変な話です。

 とはいえ、デジタルなToDoリストでも、分かりきっている作業だからと思い込んでいると、記入するのが面倒になるのも当然です。ですが、普段は慣れている作業でも、ほかの仕事が忙しくなるとつい「あ、忘れていた」ということになりがち。まずはやるべきことは全て信頼できるシステムに落とすというGTDの基本(6月27日の記事参照)に則って、繰り返しのルーティンワークもToDoリストに入力してみましょう。

分かりきったルーティンワークもきっちりToDoリストに入れておこう

完了したら次の締切日を設定

 もちろん、繰り返しの作業だからといって、1つずつ同じ作業をToDoリストに入力するのは面倒です。特に毎週の作業を1つずつ別のToDoとして入力すると、リストに同じToDoがたくさん並ぶことになりますから、リストの使い勝手の意味でも無駄が多いでしょう。

 そんな場合は、直近の締切日でToDoを1つ作成し、作業が完了したら、そのToDoを編集や複製して次の締切日で作成するというのを癖にするのをお勧めします。以前、「『締め切りを守る人』と言われるようになる――ToDoリスト3つのワザ」でご紹介した、締め切りのたびに編集するというのを繰り返しの作業に適用するイメージです。

ToDoリスト入力の工夫

  • 締切日を前倒しに設定する
  • 作業の締め切りを分割する
  • 締め切りのたびに編集する

11月22日の記事参照


 ちなみに「Outlook」や「Remember The Milk」といったような製品やサービスでは、当然のことながら繰り返しのToDoを設定することができます。ルーティンワークのToDoリスト活用は一見面倒に見えますが、繰り返しの設定を使って全体的な流れを決めてしまうことで、毎回プロセスを考えずとも作業に集中できるようになることが重要です。

「Remenber The Milk」での繰り返し設定は右側の「リピート」で行う

作業マニュアルもToDoリストに

 ルーティンワークのToDoを作成する上で特にお勧めしたいのは、ToDoのメモ欄などにその作業のマニュアルを記入してしまう方法です。

 マニュアルといってもおおげさなものではありません。あくまで手順書、つまり実際に実施する作業を手順を追って箇条書きにするだけで十分です。例えば、月末のデータ集計をする場合、筆者は下記のようなマニュアルを作成しています。

  • データ集計のエクセルを開く
  • 広告費確認
  • Webサイトログデータ確認
  • 登録者数確認
  • 売上高集計

 簡単な作業であれば「こんなリストは作らなくても忘れない」という方も多いかもしれませんが、人間の脳は案外に信用できないものです。慣れている作業でも、やっているうちにほかのことに気が散ってしまったり、寄り道をしてしまったりすることも多いでしょう。

 普段からルーティンワークについては、このような箇条書きのメモを作成しておくことで、その作業をやっている最中には集中して処理をする癖をつけるようにしましょう。また、いざほかの人に作業を頼まなければいけないときにも、この部分を転送することで簡単に依頼できるのもポイントです。

 ルーティンワークは、日々繰り返しているうちに慣れてしまいますから、逆に何となく非効率なまま放置されてしまうケースも少なくありません。ルーティンワークを全てToDoリストに落としてみること――簡単なようでいて実は「仕事の効率化」の重要な第一歩なのです。

筆者プロフィール 徳力基彦(とくりき・もとひこ)

NTT、ITコンサルを経て、現在はアリエル・ネットワーク株式会社プロダクト・マネジメント室マネージャ。ビジネスパーソンの生産性向上のためのソフトウェアの企画・開発やコンサルティング業務に従事するほか、グループウェアやブログ、仕事術などに関する執筆・講演活動を行っている。ブログは「ワークスタイル・メモ」と「tokuriki.com


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