マインドマップは「脳内インターネット」トニー・ブザン インタビュー

マインドマップの生みの親であるトニー・ブザン氏はマインドマップを「脳内インターネット」だと説明する。現在、PCでマインドマップを描けるソフトウェアを開発中で、2007年には発売予定だ。

» 2006年11月27日 11時39分 公開
[吉田有子,ITmedia]

 マインドマップの生みの親、トニー・ブザン氏は1942年ロンドン生まれ。1964年にブリティッシュ・コロンビア大学を卒業しているが、マインドマップの原点となったのは、学生時代の学業不振にあった。

大学で学業振るわず――どうやって“脳”を使えばいいのか?

 ブザン氏が大学生の頃、学業がうまくいかず、大きなストレスを抱えたことがあった。多くのノートを取るなど努力したが、成績は下がる一方。困ったブザン氏は図書館を訪れ、司書に「脳の使い方の本はどこにありますか」と尋ねたところ、医学関連の書棚に案内された。しかし、そこに彼の求めていたものはなかった。

 「世の中のどんなものにだって、それをコントロールするためのマニュアルがあるのに、脳についてだけは存在しないじゃないか」

 「脳の使い方」について学ぼう、と決めたのはこのときだったという。

 学習の結果わかったのは「脳は(今でいう)大きなインターネットのようなものだ」ということだった。脳というのはそれぞれの情報が相互にリンクしているもので、箇条書きに情報が並んでいるものではない。この「脳内インターネット」を管理するツールとして考案したのがマインドマップだ。

 しかし、そのアイデアが現在のようなマインドマップになるまでには何年もの歳月がかかっている。過去の天才のノートを調べた結果、記号・矢印・イラストなどが多く使われていることが分かった。試行錯誤の結果、単色よりカラーを使った方がよいこと、写真やイラストを使うのがよいこと、アイデアを箇条書きに羅列せずに、互いに接続するほうがよいことなどに徐々に気づいていったという。

トニー・ブザン氏

子供のためのマインドマップ入門書からマインドマップ大会まで

11月16日に発売された「マインドマップ for kids 勉強が楽しくなるノート術」

 ブザン氏は、マインドマップを教育に利用することに興味を持っている。最新刊の、子どものためのマインドマップ入門書「マインドマップ for kids 勉強が楽しくなるノート術」は11月16日に発売された。また、ブザン・ワールドワイド・ジャパンの神田社長は「教育とビジネスの両立を考えています。日本で今後50人のマインドマップ公認インストラクターを養成する予定ですが、この人数は世界でもトップ3に入ります」と話す。

 マインドマップに関する子ども向けの本は、さらに2冊出す予定だ。1冊は「赤ちゃん自身から見た赤ちゃんの脳」について、もう1冊は試験の準備などにマインドマップをどう使うかというガイドブックになる計画だ。そのほか、ビジネス書の出版予定もある。それぞれの出版後には、ブザン・ワールドワイド・ジャパンで関連するレクチャーを行う。

 そのほか「マインドマップの全国大会を行いたい。明確さ・色使い・イメージ・オリジナリティ・創造性・スピードなどで競争する大会だ」と、夢は広がる。

ペンタブレットで入力できるマインドマップソフトウェアを開発中

 現在、ブザン氏はPC上でマインドマップを描ける新しいソフトウェアを開発中だ。自分の手で描くことを重要視しているブザン氏は、このソフトをペンタブレットで入力可能にした。キーボードからも入力できるが、キーボードを全く触らずに済ませることもできる。また、従来のマインドマップソフトでは、マインドマップ上に画像を貼り付けることはできても直接イラストを描くことはできなかったが、これも可能になるという。

 「従来のマインドマップソフトよりも、ずっとフレキシブルで有機的、脳で考えていることをストレートに反映できるんだ」とブザン氏は胸を張る。「このソフトウェアの開発についてはとても興奮している。今年は素晴らしいクリスマスを迎えられそうだ」。このソフトウェアはあと3カ月ほどで完成し、2007年初めにはブザン・ワールドワイド・ジャパンから発売する予定だ。

マインドマップの開発者トニー・ブザン氏(右)とブザン・ワールドワイド・ジャパンの神田昌典社長(左)

世界のマインドマップとブザン・ワールドワイド・ジャパンの成立をマインドマップ化(ブザン・ワールドワイド・ジャパンによる)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ