マインドマップ公認団体が交代? 神田氏が説明

10月に「マインドマップの発明者、トニー・ブザン氏の公認する日本で唯一の団体」として「ブザン・ワールドワイド・ジャパン」が設立された。これまでは「ブザン・ジャパン」が「ブザン氏公認団体」として活動してきたのだが――。

» 2006年11月06日 16時56分 公開
[吉田有子,ITmedia]

 2006年10月4日に「マインドマップの発明者、トニー・ブザン氏の公認する日本で唯一の団体」として「ブザン・ワールドワイド・ジャパン」(神田昌典代表)が設立された(10月13日の記事参照)。

 ブザン・ワールドワイド・ジャパンは「神田昌典からのご挨拶」として以下のような一節を公開している。

ブザン・ワールドワイド・ジャパンのWebサイトから「神田昌典からのご挨拶」

いままでマインドマップの商標権を第三者が無断で使用されてきた状況が、ようやく今年になって全世界的に整理・一元管理されるようになった


ブザン・ワールドワイド・ジャパンのWebサイト内「神田昌典からのご挨拶」

 神田氏はBiz.IDのインタビューに答え、「トニー・ブザン氏とその出版エージェントをしているキャロライン・ショット氏は、世界各国でマインドマップの商標を自分たちと関わりのない個人や組織が保有していることを問題視していました。各国で整理を進め、昨年になってブザン氏らが商標を管理できることになったそうです」と話した。今後、同社が認めた団体・個人だけに「マインドマップ」の名を冠したセミナー開催を認める方向だ。

 国内の「マインドマップ」という商標は、ブザン・ワールドワイド・ジャパンの上位団体である英国の「ブザン・オーガナイゼーション・リミテッド」が、雑誌・書籍・新聞・パンフレットなどを示す第16類で2002年に商標を取得している。さらに、コンピュータのプログラムを記憶させた各種記憶媒体などを示す第9類とセミナーの企画・運営などを示す第41類で2006年3月に出願している。この出願が通ってブザン・オーガナイゼーション・リミテッドが商標を取得した場合、「マインドマップ」の名を冠したセミナーの運営をブザン・オーガナイゼーション・リミテッドに無許可で行うことは、同社の商標権を侵害することになる。

 商標取得についてブザン・ワールドワイド・ジャパンは「商標の申請・登録は、ブザン・オーガナイゼーション・リミテッドによって直接なされたもので、弊社は申請に関わっておりませんが、弊社としては、マインドマップという知的財産、そしてその利用ということを考えると、紙媒体、電子媒体およびセミナーを対象範囲としたことは、自然な流れだと理解しております」とコメントした。

 とはいえ、同社はマインドマップ市場独占の意図がないこともアピールする。

ブザン・ワールドワイド・ジャパンのWebサイトから「神田昌典からのご挨拶」

 この会社はマインドマップ愛好者のサポートをすることが目的であり、我々の会社がセミナー、講演会事業に直接乗り出し、市場を独占・管理する意図は全くないということです。あくまでも、トニー・ブザンが正式に認可したインストラクターを中心に、マインドマップを普及することが目的です。

 いままでマインドマップ普及にご尽力されてきた方は、ぜひ、公認インストラクター講座にご応募いただき、正式にトニー・ブザンと連携していただきたい


もう1つのマインドマップ団体──ブザン・ジャパン

ブザン・ジャパンのWebサイトに掲示された「『ブザン ワールドワイドジャパン設立発表』に関するお客様へのご報告」

 実は、冒頭で「日本で唯一の団体」とうたったのには訳がある。これまで「ブザン氏公認団体」とされていたのは、神田氏の新団体とは異なる「ブザン・ジャパン」だったからだ。

 ブザン・ジャパンは「世界で5人目、日本では唯一のブザン・リミテッド公認マスタートレーナー資格を取得」したというウィリアム・リード氏を代表とし、これまでマインドマップに関するセミナーを行ってきた。ブザン・ジャパンの上位団体はブザン・リミテッド。ところが、トニー・ブザン氏側とブザン・リミテッドの間で対立が生じたと、同社はWeb上で告知し、セミナー活動を一時停止している。

ブザン・ジャパンのWebサイトから、10月18日付「『ブザン ワールドワイドジャパン設立発表』に関するお客様へのご報告」

 私どもブザン・ジャパンは、ブザン・リミテッドと5年間の独占契約を締結のうえ、マインドマッピングを日本に普及する目的で設立され、昨年から運営を行なってまいりました。

 ところが、既にご存知のように10月13日に「ブザンワールドワイドジャパン」(神田昌典代表)の設立が発表されました。昨年中旬から、トニー・ブザン氏側とブザン・リミテッドの間で対立が生じた模様であり、ブザン・ジャパンとしてもトニー・ブザン側との見解の相違を踏まえながら、慎重に運営を続けてまいりましたが、今回ご報告するような事態に至ったわけです。



 この件についてブザン・ジャパン代表のウィリアム・リード氏にメールで問い合わせたが、返事は得られなかった。

 神田氏は「ブザン・リミテッドという組織はすでに存在しないと聞いています」とし、「トニー・ブザン氏とブザン・リミテッドの関係についてはよく分からない」と明言を避けた。また「ウィリアム・リード氏とは友人で、最近は会っていませんが、かつて私の著書に付属したCDに出演してもらったこともあります。彼がマインドマップの仕事をすることも応援していたので、今回のような事態になったのは非常に残念」と述べている。

ブザン・ジャパンの受講生はどうなる?

ブザン・ワールドワイド・ジャパンの神田昌典代表

 今後、ブザン・ジャパンが活動を停止し、ブザン・ワールドワイド・ジャパンがブザン氏公認団体として活動するなら、「ブザン氏公認のものだから」という理由でブザン・ジャパンでマインドマップの講習を受け、取得した認定証などがあった場合、その価値はなくなってしまうのだろうか。

 「いままでのブザン・ジャパンの活動内容を把握していないので、弊社としては、現在、コメントできる状況ではありません。しかしながら、仮にトニー・ブザン氏公認という認定証等が出されている状況が事実であれば、マインドマップおよびトニー・ブザン氏の信用に関わる問題ですから、弊社としては、適切な措置をとるように、ブザン氏本人に交渉していくことは、当然のことと認識しております」(神田氏)

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