大量の仕事をうまくさばくには?(理論編)シゴトハック研究所

きちんとスケジュール管理をしていても大量の仕事に押し流されてしまいそうになりがち。冷静に対処する方法を紹介します。

» 2006年07月13日 13時36分 公開
[大橋悦夫ITmedia]

今回の課題:仕事が多すぎて予定していた分量をこなせない

状況説明:きちんとスケジュール管理をしているつもりでも、時として種類も期限も異なる大量の仕事が押し寄せてくることがあります。

 仕事はひとつひとつ順番に片付けていくのが基本ですが、このような状況になるとなかなか冷静に対処することが難しくなります。

このような場合、どうしたらいいでしょうか。


コツ:予め決めたルールに沿って仕事の優先順位付けを行う

 押し寄せてくる仕事を洪水にたとえると、ちょろちょろと流れる程度の水量ならいくらでもコントロールできたものが、勢いよく大量に流れてくることで手に負えなくなる状況と言えます。洪水を防ぐには、予め堤防を築いたり、一時的に水を溜めておくためのスペースを作っておくなど日頃の準備が欠かせません。

 仕事であれば、優先順位をつけるための基準や手順を決めておくことや、何かあったときのためのバッファ時間を確保しておくことと言えるでしょう。

 特に手順を決めておくことは有効です。大量の仕事に翻弄されそうになったら、災害対策マニュアルよろしく予め決めておいた手順に従って優先順位をつけてさばいていきます。例えば、以下のような手順です。

  1. 締め切りが迫っているものを優先する
  2. 短い時間で終えられそうなものを優先する
  3. とりあえず手を着けておくと後が楽になりそうなものを優先する

締め切りが迫っているものを優先する〜箇条書きリストを活用

 これは当たり前のことのように思えますが、直面している仕事が増えてパニック状態に陥るとなかなか冷静になれずに、焦って少しでも前に進めようとするあまり「今やらなくてもいい作業」に時間を費やしてしまうことがあります。こういう時こそ落ち着いて、特に期限が迫っているものだけに自分の注意を向けるようにします。

 例えば10個の仕事がある場合、これを箇条書きリストにした上で、それぞれの期限を「何月何日の何時まで」という形で時間単位で記入していき、上位3つを残して後は消してしまいます。

 こうすることでとりあえず今この瞬間に相手にしなければならないのはこの3つの仕事だけである、という状況が生まれます。これで、まずは落ち着きを取り戻すことができます。

短い時間で終えられそうなものを優先する

 1で絞り込んだ3つの仕事について、着手してから終えるまでの時間が最も短そうなものから手を着けます。つまり早く終えられるものを優先するわけです。

 例えば、10分かかる仕事、30分かかる仕事、1時間かかる仕事、という3つの仕事がある場合は、「10分かかる仕事」から取りかかります。

 こうすることにより「10分後には残りの仕事は2つになる」という安心感を手にすることができます。実際のところ、「10分かかる仕事」が終われば、残りは1時間半ということになり、たとえわずかでも仕事を進めることができたことには変わりありません。

 これはジグソーパズルにおける「なるべくわかりやすいピースからはめ込んでいく」という鉄則に似ています。たとえわずかでも、手を着けられるところから進めていくことで、早く全体像を把握することができ、後続の作業のスピードアップが図れます。

とりあえず手を着けておくと後が楽になりそうなものを優先する

 とは言え、10分かかる仕事、30分かかる仕事、1時間かかる仕事、と並んでいたら「10分かかる仕事」に真っ先に目がいくのは当然と言えます。裏を返せば「1時間かかる仕事」を敬遠しているということになります。

 そこで、「1時間かかる仕事」をもう少し小さい単位に分解し、例えば「20分かかる仕事」と「40分かかる仕事」に分けてみます。すると、仕事の数は増えますが1つ1つの仕事の単位は小さくなります。

 今日中に1時間分すべてを終えることは諦めていたとしても、その1時間分をまるまる翌日に先送りするのではなく、例えばそのうちの20分ぶんは今日やってしまうようにします。この結果、翌日に持ち越されるのは残りの40分ぶんということになり、後が楽になります。


 今回ご紹介した、優先順位をつけるための3つのステップは、あくまでも私自身の仕事の経験をもとにしたものです。それゆえ仕事の種類や性格が異なる場合はうまく当てはまらないこともあるでしょう。

 大事なことは、自分自身の経験をベースにして「優先順位をつける手順」を作り出すことです。誰かが考えた手順はその誰かにとっては最適かも知れませんが、自分には合わない可能性があるからです。

 日々の自分の仕事を振り返って自分だけの手順を確立しておく方が“災害時”には役に立つはずです。

実践編:実際の現場では?

筆者:大橋悦夫

仕事を楽しくする研究日誌「シゴタノ!」管理人。日々の仕事を楽しくするためのヒントやアイデアを毎日紹介するほか「言葉にこだわるエンジニア」をモットーに、Webサイト構築・運営、システム企画・開発、各種執筆・セミナーなど幅広く活動中。近著に『「手帳ブログ」のススメ』(翔泳社)がある。


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