ソーシャルブックマークを情報整理の必須ツールに(後編)デジタルワークスタイルの視点

後編では具体的な利用方法に触れる。「はてなブックマーク」で“手抜き情報整理術”を実現しよう。

» 2006年07月13日 00時53分 公開
[徳力基彦,ITmedia]

 前回、ソーシャルブックマーク-の一般的な機能をご紹介しましたが、初めて使う方は具体的にどういう使い方をすればピンと来ない方も多いかもしれません。そこで、今回は国内で多くのユーザーに利用されているソーシャルブックマークサービス「はてなブックマーク」を例に手軽な情報整理術をご紹介します。

はてなブックマークで、手抜き情報整理をするための3つのポイント

  • 検索できればいいじゃないか
  • 検索しやすい状態にする
  • クリッピングした情報は忘れてしまおう

検索できればいいじゃないか

 はてなブックマークの使い方の話をする前に、ひとつだけ意識してほしいことがあります。それは、何も自分ひとりで、ネット上の情報を全て整理・保管しようとする必要はないということです。

 新聞や雑誌が情報収集の対象の中心だった時代は、関連する記事を切り抜いたり、コピーをとってクリッピングし、自分だけの情報ファイルを作るというのが基本的な情報整理術でした。当然、それらのファイルを後から見つけられるかどうかというのは非常に重要な技術でしたので、「超」整理法や「捨てる技術」のようなさまざまな整理マニュアル本がヒットしたのも当然でしょう。

 ただ、ネット上の情報は、基本的に後から検索することが可能です。大体どこに何があったかという検索キーワードやサイトの情報さえ覚えておけば、後から比較的探しやすい時代になっているわけです。情報収集したものを、何でもかんでも自分のPCやファイルに整理して保管する必要性は低下してきていると言っても良いと思います。

検索しやすい状態にする

 もちろん、そうは言っても80億ページ以上と言われる大量にインデックスされている検索エンジンの情報から、毎回目的の情報を検索しなおすというのが生産的ではない場合も多いでしょう。

 GoogleやYahoo!などの検索性能がいくら向上したとはいえ、必要な情報を効率よく検索するのには検索テクニックが必要な場合が多くあります。そこでお勧めしたいのが、充実した検索機能を持つはてなブックマークを利用して、気になった情報を検索しやすい状態にしておくことです。

 はてなブックマークでは、一般的なソーシャルブックマークにあるような、クリッピングした日時を元に時系列で過去のブックマークを振り返ることができたり、「タグ」でブックマークを整理して保存したりという機能があるだけでなく、件名やRSSで取得した記事の文章も対象にして検索することができます。

特定の日付で表示したところ
タグ(lifehack)で検索
はてなブックマーク全体を「Biz.ID」タグで検索してみた

 気になった情報をとりあえずはてなブックマークにクリッピングしておけば、自分がクリッピングした記事だけを対象に、後からテキスト検索することができるのです。GoogleやYahoo!から過去の記事を検索するには、膨大なページの中から検索する必要がありますから、複数の単語を組み合わせて複雑な検索をする必要があるかもしれません。それが自分のブックマークだけが対象であれば、検索して比較的容易に見つけることができるのです。

クリッピングした情報は忘れてしまおう

 ちなみに、はてなブックマークには「タグ」以外に、「コメント」や自動分類されるカテゴなど様々な機能があり、これらの機能を使うことでより細かい情報整理を実現することができます。ただ、最初からタグの分類方法やコメントのつけ方を気にしていると、クリッピングに時間がかかってしまうと思いますので、慣れるまではタグやコメント等のはてなブックマークの機能にはこだわらず、とにかくクリッピングだけすることをお勧めします。

 最も重要なのは、クリッピングしたことで、「後から検索することができる」と安心できる状態になることです。Biz.IDで詳細に解説している「GTD」でも、頭の中の「やりかけの仕事」をなくすことで、頭をすっきりとさせることのメリットが繰り返し強調されていますが、情報整理においても基本的な考え方は同じです。

 「気になる情報」を、後から手軽に探し出せる状態にしてしまうことで、それぞれの情報を忘れてしまうようにしましょう。そうすることで頭がすっきりした状態で、次の情報に接することができるようになります。

 もちろん、ただ忘れるだけでなく、何かのきっかけで思い出せる状態になっているということも重要ですから、そのためにタグなどを活用して自分なりの整理ルールを作っておくのが良いでしょう。ただ、情報の整理や分類に手間をかけすぎると、次から次に新しい情報が生まれてくる状況に対応できなくなってしまいます。

 まずは、次々に押し寄せてくる大量の情報の波を、“手抜き”をしながら効率よく整理して乗り越えていく――という感覚を体で覚えてしまうことをお勧めします。

筆者プロフィール 徳力基彦(とくりき・もとひこ)

NTT、ITコンサルを経て、現在はアリエル・ネットワーク株式会社プロダクト・マネジメント室マネージャ。ビジネスパーソンの生産性向上のためのソフトウェアの企画・開発やコンサルティング業務に従事するほか、グループウェアやブログ、仕事術などに関する執筆・講演活動を行っている。ブログは「ワークスタイル・メモ


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