「ゼロベース思考」と「時間対価値思考」平本メソッド・ピークパフォーマンス実践シリーズ(1/2 ページ)

「先延ばしを撃退する、5つのステップ」のファーストステップで参考にしたいのが、「ゼロベース思考」と「時間対価値思考」。しっかり学んで時間を活用しよう。

» 2006年06月30日 00時00分 公開
[平本相武(構成:房野麻子),ITmedia]

 前回解説した「先延ばしを撃退」の「ステップ1」で参考にしてもらいたいのが「ゼロベース思考」です。よく、「授業料を払っちゃったから最後まで出なきゃ」とか、「いったん取り掛かったから終えなきゃ」というふうに考えます。でも場合によっては、最後までやるほうが労力や時間、お金がかかって無駄なときがあるんです。

 「ゼロベース思考」とは、「今から開始するとして(お金を払っていなかったとして)、それでもやるかどうか」という発想の仕方です。

 例えば、会社が300万円かけてプロジェクトを始めて、すでに2カ月、非常に悪戦苦闘しているとします。さらにこの後、1千万円くらいかかる。その割には、トントンか赤字で、あと半年間は時間を取られる。こうだとしたら、どうですか?

 外から見ると辞めたほうがいいと思うのですが、「3カ月もやってきてお金は300万も使ったし、とんとんになるかもしれないし……」と続けてしまうんです。でも、トントンになっても儲けはないわけですよね。しかも、これから半年間もっと大変になる。そうすると、やめたほうがいいんですね。

 トータルで我々の能力とお金と資産を使う価値があるのか、を考えてほしいんです。今日明日に黒字化されるならいいですけれど、あと1カ月かかる、3カ月かかる、半年かかる、という場合、それだけのエネルギーを注ぐだけの価値があるかどうか。ないと思ったら、どれだけお金や労力を費やしていたとしても、やめる勇気が必要です。

 山登りと一緒で、「もうちょっとで頂上に着く。でも、これ以上いくと遭難する危険性が高い」となったら、引き返したほうがいい。「でも、ここまでがんばって来たから」といって登っちゃう。それで結局みんなで遭難しちゃうんですね。

 過去に費やした労力がなかったとして、今から始めるとしたら、やる価値があるか。全体を考えてそれをやる価値があるか。この考え方がゼロベース思考です。

時間対価値思考

 もう1つが、「時間対価値思考」です。会社員である斎藤さんにお聞きしたいんですが、自分の分給、時給でも結構ですが、ご存知ですか?

斎藤 最近はわからないです。昔、計算したことはありますが。

平本 つまり、「この作業は自分にそれだけの時給を払ってもらってやる価値があるかどうか」を考えることです。ちょっとした作業だと、つい自分でやってしまっているけれど、それをやることで、結局、損をしていることがあるんです。その時給でほかの人に任せたほうが、能率がいいかもしれない。

 最近、家事をしてくれるホームヘルパーが流行っていますね。年収が500万円以上ある人だったら、単純に時間対効果だけを考えると、ホームヘルパーを雇ったほうが、自分でするよりワリはいいんですよ。ただ、料理が好きだとか、洗濯でリフレッシュできるという場合はやってくださいね。そうじゃなくて、「つらいな、きついな。でも、これをやらないと生活できないし……」と思うんだったら、時間対効果で考えて、お金を払ってやってもらったほうが能率はいいんです。

 ビジネスでも、部下にやらせたり、アウトソーシングで業者に任せたりしたほうがいいことが多いです。専門家に頼めば安い金額で早くやってくれるのに、つい自分でがんばっちゃうんですね。「ようやくできた!」とか「うまくできた!」と思うんだけど、何時間も費やしている。さっさとほかの人にまかせれば、パッとできるのに。

 また、この時間対価値思考で大事なのは「セルフイメージ」です。自分が持つべきセルフイメージを持ってほしいんです。つまり、「私は社員で、会社からお金をもらっていて、この仕事を任されているから、自分でやらなきゃ」、っていうセルフイメージを持っちゃダメなんです。

 与えられた仕事を何でもかんでもこなすのではなく、「私は何をする人間なのか」。自分に問いかけてセルフイメージを変えてほしいんです。

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